「あの会社はやめた方がいいよ」と友人に言われたら

「あの会社はやめた方がいいよ」と友人に言われたら

評判だけで、まだよく知らない会社を候補から外してしまうことがあります。

数か月前、ある候補者にクライアント企業のポジションを紹介したときのことです。

仕事内容を説明する前に、その方からこう聞かれました。

「その会社って、○○か△△ですか?」

そのうちの一社だと伝えると、すぐに辞退されました。

あまり良くない噂を聞いていて、興味はないとのことでした。

もちろん、その判断自体は本人の自由です。

その後は、その会社の話ではなく、業界全体について少し話をしました。

ただ、私はその後も少し気になっていました。

その方は、仕事内容も、上司も、チームも、そのポジションがなぜ募集されているのかも、今その会社で何が起きているのかも聞く前に、候補から外していたからです。

判断材料は、ほぼ評判だけでした。

そして、会社の評判というのは意外と難しいものです。

同じ会社でも、まったく違う経験になることがある

その方が挙げた二社について、私はどちらもよく知っています。

もちろん、どんな会社にも良い面と悪い面がありますし、過去にそこで働いた人の中には、つらい経験をした人もいると思います。

一方で、そのうち一社は今も成長を続けていて、欠員補充ではなく事業拡大のために採用を増やしています。扱う技術や製品分野も広がっています。

私が紹介して入社した方の中には、仕事を楽しみながら経験を積み、年収も上げ、次のキャリアにつながる大きな一歩を踏み出した人もいます。

では、どちらが本当なのでしょうか。

おそらく、どちらも本当です。

ある人にとって合わない会社でも、別の人にとっては非常に良い会社になることがあります。

ネガティブな経験を否定する必要はありません。

ただ、その一人の経験だけで、その会社すべてを判断できるわけではないということです。

「友人がそこで働いていたけど、ひどい会社だったと言っていた」

そういう情報は無視すべきではありません。

でも、その経験は、その人がいたチーム、上司、時期、役割、そしてその人自身が何を求めていたかによって大きく変わります。

時には、会社の評判とはまったく関係のない理由で避ける人もいます。

以前、奥様がその会社で働いているという理由だけで応募を断った候補者もいました。

会社に問題があったわけではありません。

単純に、奥様と同じ会社では働きたくなかったそうです。

それはそれで、十分な理由だと思います。

オンラインの口コミで分かること、分からないこと

転職を考えるなら、会社について調べるのは当然です。

口コミを見る。

友人に聞く。

元社員の話を聞く。

LinkedInで調べる。

傾向を見る。

いろいろな情報を集めることは大切です。

ただ、オンラインの口コミには少し特徴があります。

とても嫌な経験をした人は、その体験を誰かに伝えたいと思うことが多いです。

一方で、特に大きな不満もなく、順調に働いている人は、わざわざ口コミを書くことは少ないかもしれません。

だからといって、ネガティブな口コミが間違っているということではありません。

その人にとっては本当にそうだったのかもしれません。

ただ、それはあくまで一つの情報です。

全体像とは限りません。

ある人は厳しい上司のもとで働いていたかもしれない。

別の人は、まったく違うチームにいたかもしれない。

ある人は組織再編の真っただ中に入社した。

別の人は、その後に体制が落ち着いてから入社した。

仕組みやルールがしっかりした環境が苦手な人もいれば、そういう環境の方が働きやすい人もいます。

会社は同じでも、感じ方は同じとは限りません。

実際に働いている人を見る

私がよく勧めるのは、会社のLinkedInページだけでなく、そこで働いている人たちを見ることです。

例えば、

  • どのくらい長く働いている人が多いか
  • 1年以内に辞める人が目立つか
  • 5年、10年、15年と長く働いている人がいるか
  • 社内で昇進している人がいるか
  • 組織再編や買収、経営陣の変更後に多くの人が辞めていないか
  • 離職が特定の部門に集中していないか

こうした傾向を見ると、かなり参考になります。

もし同じチームの人が何人も1年以内に辞めているなら、私なら理由を知りたいと思います。

それだけで「悪い会社」と決めつける必要はありませんが、確認すべきポイントではあります。

一方で、5年働いて辞めた人がいたとしても、それだけではあまり多くは分かりません。

その5年間で良い経験を積み、昇進し、次のステップに進むために退職したのかもしれません。

長く働いている人がいることも、一つの参考になります。

8年、10年と在籍し、その間に役割が広がっている人がいるなら、それも会社を見る材料になります。

もちろん、自分も同じ経験をする保証はありません。

でも、判断材料の一つにはなります。

評判を「答え」ではなく「質問」にする

会社について悪い話を聞いたら、そこで考えるのをやめるのではなく、もう少し調べてみるのが良いと思います。

なぜこのポジションを募集しているのか。

事業拡大による採用なのか、退職者の補充なのか。

チームの離職率はどうなのか。

上司はどのくらいその会社にいるのか。

ここ数年で組織はどう変わったのか。

事業はどう推移しているのか。

社内で昇進している人はいるのか。

そして、会社側の話も聞いてみる。

もちろん、会社が言うことをすべてそのまま信じる必要はありません。

でも、悪い噂だけを事実として受け止める必要もありません。

面接も、その会社を見極めるための大切な機会です。

上司になる人と話す。

直接質問する。

答え方を見る。

チームが何を目指しているのか聞く。

今どんな課題があるのか聞く。

なぜ人が残るのか。

なぜ人が辞めるのか。

そうやって自分で情報を集めたうえで、「やはり自分には合わない」と判断するのであれば、それで良いと思います。

大切なのは、自分で集めた情報をもとに決めることです。

誰かの結論だけを、そのまま自分の結論にしないことです。

評判は大切。でも、背景も大切

会社の評判が、そのまま正しいこともあります。

昔の話で、今はかなり変わっていることもあります。

ある時期だけ非常に大変だったこともあります。

一つのチームでは当てはまっても、別のチームではまったく違うこともあります。

そして、その人にとって単に相性が悪かっただけということもあります。

だからといって、悪い評判を無視するべきだという話ではありません。

複数の人が同じことを言っているなら、きちんと確認した方がいい。

口コミで同じ問題が何度も出てくるなら、調べた方がいい。

LinkedInを見て、検討しているチームで短期間の退職が続いているなら、面接で聞いてみた方がいい。

ただ、気になる情報があることと、結論が出ていることは同じではありません。

会社の評判は、転職先を判断するための大切な材料です。

でも、その評判だけに判断を任せる必要はありません。

噂は、どこを確認すべきかを教えてくれます。
でも、それだけで調べるのをやめる理由になるとは限りません。